
描く瞑想として曼荼羅を制作する中で、シャルトル大聖堂のバラ窓が持つ『見る者を一瞬で深い静寂へ誘う力』に強く惹かれ、その円環に込められた中世の職人たちの祈りと自分自身の制作を重ね合わせています。

円形の中に宇宙を描き出す「曼荼羅」。
その幾何学的な美しさを探求する中で、私がいつか必ず訪れたいと願っている聖地があります。
それがフランスの「シャルトル大聖堂」です。
「シャルトル・ブルー」と呼ばれる神秘的な青、そして三位一体を象徴する巨大なバラ窓。
そこには、東洋の曼荼羅にも通ずる「中心から広がる宇宙」の調和が存在しています。
この記事では、曼荼羅アーティストの視点から、シャルトル大聖堂のステンドグラスに秘められた構成美と、その深い魅力を解き明かします。

あの青い光に包まれる瞬間を想像するだけで、制作への意欲が湧いてきます。
目次
曼荼羅の視点で読み解く「シャルトル・ブルー」の精神性

- シャルトル・ブルーが持つ「静寂」の波動と生理的効果
- 12世紀から奇跡的に残るステンドグラスの歴史的背景
- 瞑想空間を生み出す独自の青色が持つ、内観を促す力
シャルトル大聖堂のステンドグラスが放つ「青」は、単なる色彩を超え、見る者の精神を深く静まり返らせる力を持っています。
曼荼羅制作において「色」が持つ波動を重視する私にとって、この青は特別な意味を持ちます。
なぜ「奇跡」と呼ばれるのか?12世紀の輝きが残る理由
1194年の大火災や二度の世界大戦を潜り抜けたステンドグラスは、まさに「残るべくして残った」奇跡の象徴です。
曼荼羅もまた、描くプロセスそのものが祈りですが、シャルトルの光もまた、中世の職人たちの祈りが結晶化したものと言えます。
唯一無二の深い青色、その製法の謎と視覚的効果
シャルトル・ブルーの深い色彩は、現代の化学でも完全再現は難しいとされています。
この青が聖堂内を埋め尽くす時、そこには内観を促す瞑想空間が生まれます。

シャルトルの青は、まさに意識を宇宙の知性へと接続してくれる「聖なる装置」のようです。
曼荼羅における「青」の精神的・生理的効果
曼荼羅に青を用いる際、私はそれを「副交感神経への深いアプローチ」と「自己内省のトリガー」として定義します。
青という色は視覚を通じて脈拍や体温を鎮静させる生理的効果を持ち、描き手や観る者を「動」から「静」へと強制的にシフトさせます。
この沈静化こそが、曼荼羅の中心(真理)へと向かうための精神的な準備を整えてくれるのです。
シャルトルの青に寄せるアーティストの感性
シャルトル大聖堂の青い光は、短波長特有の鋭さと包容力を併せ持ち、脳波をアルファ波へと導くような「高次元の静寂」を湛えています。
それは物質的な境界を溶かし、個人のエゴを広大な宇宙の知性(ユニバーサル・マインド)へと接続させる、純度の高い浄化の波動であると感じます。
- 生理的な沈静効果により、意識を「動」から「静」へ導く。
- 自己の内面と宇宙の知性を繋ぐ、浄化のエネルギーを持っている。
円環に描かれた宇宙:3つのバラ窓の「幾何学構成」
- 3つのバラ窓それぞれが持つ、異なるエネルギーと象徴
- 曼荼羅の「中心=真理」構造とバラ窓の共通点
- 石とガラスで組み上げられた「無我」の境地の凄み
曼荼羅アーティストとして最も注目すべきは、バラ窓の「構成(グリッド)」です。
円の中にどのように神聖な秩序が配置されているのか、その美しさを分析します。
【西のバラ窓】中心から放射される「審判と調和」

「最後の審判」を描く西の窓は、中心のキリストから外側へと秩序正しく物語が広がっています。
これは曼荼羅における「中心=真理」という構造と完全に一致しています。
【北のバラ窓】聖母を囲む「対称性の美学」
![3/5 シャルトル大聖堂:フランスが誇るゴシック建築の傑作 [世界遺産] All About](https://imgcp.aacdn.jp/img-a/800/auto/aa/gm/article/2/2/4/7/2/201705211800/chartres-n20.jpg)
北の窓は、聖母マリアを中心に複雑な幾何学模様が展開されています。
その完璧な左右対称(シンメトリー)は、見る者に安心感と宇宙の広がりを感じさせます。

それは、花びら、雪の結晶、あるいは細胞の分裂といった、自然界が内包する「生命の設計図」とバラ窓の幾何学が一致するからです。
精密に計算された石の枠組み、数ミリの狂いもなく配置された文様。
その「整い」の前に立つとき、私たちは言葉による思考を奪われます。
ただ、「外側の完璧な秩序」が「内側の無秩序」を静かに侵食し、乱れた波長を整えていくのを感じるのです。
【南のバラ窓】光が描く「動的なエネルギー」
キリストの凱旋を象徴する南の窓は、太陽の光を最も強く受け、色彩が躍動します。
静寂の北窓に対し、こちらはエネルギーの放射を感じさせる動的な曼荼羅と言えます。
曼荼羅アーティストの目から見た「構成の妙」
点描画において、無数の点を打ち続ける時間は、自分自身が作品の中に溶けていくような感覚を伴います。
無心になる瞬間の連続が作品を完成へと導きます。
- 膨大な時間軸: 私たちが一枚の曼荼羅に数十時間を費やすのに対し、バラ窓の完成には世代を超えた年月が費やされました。
- 「無名」の献身: アーティストとしての自我を捨て、自分を「道具」に徹させた職人たちの精神性は、曼荼羅制作における「無我」の境地と深く共鳴します。
曼荼羅を描く際、私たちはまず中心を定め、そこから放射状に意識を広げていきます。
シャルトルのバラ窓もまた、直径12メートルを超える巨大な「石の曼荼羅」といえます。

円環の終着点に至るまで、数ミリの狂いも許されない。
もしわずかでも中心が揺らげば、巨大な石の重圧によって円は崩壊してしまいます。
職人たちは、石を削りながら自らの呼吸を整え、石の中に潜む「神聖な幾何学」を掘り起こしていったと思うと、その一削り一削りは、まさに私たちがキャンバスにコンパスの針を立てる瞬間と同じ、深い静寂と集中に満ちた祈りだったのです。
- 円と多角形の組み合わせは、物理的な重力と精神的な調和の最高レベルの均衡。
- 制作過程そのものが「無我」の境地に至る修行であったことが推察される。
曼荼羅アーティストが憧れる「鑑賞と制作」のインスピレーション

- 太陽の動きによって刻々と変わる「生きた曼荼羅」の魅力
- 0.1mmの細部に宿る、職人たちの「祈りの密度」
- ラビリンスを歩くことで体感する、自己の中心への旅
光の移ろいで変化する「生きた曼荼羅」
キャンバスに描く曼荼羅と異なり、バラ窓は太陽の動きによって色彩が刻々と変化します。これは「諸行無常」にも通じる、一期一会の芸術体験です。
双眼鏡で捉える、0.1mmの祈りの積み重ね
高い場所にあるステンドグラスの細部には、職人による緻密な細工が施されています。そのディテールを観察することは、自身の制作における集中力を高めるヒントになるはずです。
足元の「ラビリンス(迷宮)」を歩く瞑想
床に描かれたラビリンスを歩く体験は、曼荼羅の中心へと向かう精神の旅そのものです。
身廊の床には、13世紀から遺る「ラビリンス(迷宮)」と呼ばれる円形の紋様が描かれています。
これは、かつて巡礼者がエルサレムへの巡礼に代えて、祈りを捧げながら膝で辿ったとされる聖なる道です。
バラ窓のシンメトリーが頭上から降り注ぐ一方で、足元にもまた完璧な幾何学が存在している事実は、この場所が「上下の調和」を重んじて設計されたことを物語っています。
シャルトルの中心に立ったなら:新作への構想
もし私がシャルトルの中心に立ったなら。
点描の一粒一粒を、「光のつぶ」として表現します。
- ベースカラー: 底知れぬ深いネイビーから、あふれ出すようなスカイブルーへのグラデーション。
- 光の点描: 青色のインクにラメを混ぜ、光の当たり方によって窓の瞬きのように表情を変える設計にします。


ふと、シャルトル大聖堂のバラ窓を刻んだ職人たちも、同じように「一つのミスも許されない」という極限の状態で石に向き合っていたのではないか、と想像してしまいました。
曼荼羅制作に集中して肩や首の痛みを感じることがありますが、それだけ本気で作品に向き合えた証拠のように思えて、どこか誇らしい気持ちです。
曼荼羅とバラ窓:受動と能動の光が交差する地平
物理的な光の体験
シャルトル大聖堂にはいつか行ってみたいと願っていますが、今はまだ写真や資料を眺める日々です。
ただ、その精緻な構造を分析していると、バラ窓が「光に包まれる」場所であるのに対し、曼荼羅の制作は「光を生み出す」場所なのだと感じます。
-
バラ窓の分光:外からの太陽光がステンドグラスを通ることで、人間が受け取れる色彩へと形を変えます。それは宇宙の大きなエネルギーを、私たちの心に届く美しさに「翻訳」しているかのようです。
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曼荼羅の点描:真っ暗な背景に一つひとつ点を打ち、光を置いていく作業です。まだ見ぬ大聖堂の光に思いを馳せながら、何もない暗闇の中に星を灯していく。それは私にとって、静寂の中から光を少しずつ「引き出していく」ような、大切なプロセスです。
闇の質へのアプローチ

曼荼羅を描く中で大切にしているのは、光と闇の対比です。
真っ暗な背景だからこそ、たった一つの白い点が、まるで本物の星のような輝きを放ちます。
バラ窓の職人が「光を通すこと」を極めようとしたのに対して、私の場合は「深い闇」から始めます。
その静かな闇の中に、どれだけ確かな光を宿せるか。
そこに、曼荼羅アーティストとしての自分のこだわりが詰まっている気がします。
| 項目 | バラ窓(西方) | 曼荼羅(東方) |
| 光の源泉 | 外部(天からの太陽光) | 内部(心象の光・点) |
| 表現の手法 | 透過:光を分ける(分光) | 描画:光を置く(点描) |
| 制作の境地 | 受動:大いなる光を受け取る | 能動:深淵から光を紡ぎ出す |

ガラスを「透き通る光」と、黒い紙から「立ち上がる光」は、性質は違っても、この二つが自分の中で重なり合う瞬間がありました。
そのとき、私はただ技術的に描くのではなく、光と闇を調和させるための「通り道」になれたような、不思議な安心感に包まれます。
まとめ:バラ窓という名の曼荼羅に会いに行く

- シャルトル・ブルーは、魂を浄化し、普遍的な知性へと導く色の波動。
- 手法は違えど、東西ともに「宇宙の真理」を描くという根底で繋がっている。
- 一点一点の祈りの集積が、時代を超えて人々の心を癒やし続けている。
シャルトル大聖堂のバラ窓は、私にとって、世界の美しさを光として肌で感じられる特別な場所です。
日々曼荼羅を描いている一人として、あの幾何学と色彩が溢れる空間を実際に訪れる日は、きっとそう遠くない気がしています。
あなたの心に「青い静寂」を灯すために
現代を生きる私たちは、目まぐるしい情報の渦の中で、時として自分自身の中心を見失いそうになります。
一生懸命に毎日を生きているあなたへ、曼荼羅制作を通してお伝えしたいことがあります。
「答えは、常にあなたという中心の中にあります」
シャルトルのバラ窓が外からの光を美しく変えるように、あなたに降りかかる出来事がたとえ厳しいものであっても、あなた自身のフィルターを通せば、それは必ず「あなただけの光」へと変換できます。
- 歴史に学ぶこと: 数世代をかけて築かれた大聖堂は、「積み重ねの尊さ」を教えてくれます。
- 今、取り入れられること:もし少し疲れを感じたら、そっと目を閉じて、自分の心の中にある静かな湖を眺めるような気持ちで過ごしてみてください。
そんなふうに自分とゆっくり向き合う「ひと休み」の時間を、大切にしてくださいね。
今日という一日に、あなたはどんな色を置いていきますか? たとえ目立たないような小さな一点だとしても、それはあなたという作品を完成させるための、大切なピースのひとつです。どうかその一粒を、大切に灯してあげてくださいね。


忙しい手を止めて、その光を見つめる時間を大切にしてくださいね。













